1992年（平成4年）12月の開業以来、皆様のおかげをもちまして開業25周年を迎えることができました。
　今思えば、麻布大学付属動物病院で研修を積んだ28歳の若手獣医師（若かりし私）と愛犬ふく（シーズー♀享年15歳）と一緒に、小さい貸店舗（現病院の並びに位置していた）からの出発でした。
 
　当時はバブル経済の破綻により、富裕層がひっくり返り、社会情勢に混乱が起きた時代であり、私のような無一文の青年にも神様がチャンスをくれたことと感謝しております。
　しかしゼロからのスタートでしたから、無い無い尽くしでした。あるものといえば自身の健康と体力に加え、誰にも負けない動物医療への情熱と、お客様に真心で対応する姿勢でした。
　「おたくは駐車場が遠くに1台しかないのね」という理由で診療さえ受けずにお帰りになられたお客様もおいでになりました。
　当時はまだまだ大きかった携帯（？）電話を枕元へ置いて夜間診療サービスにも努めてまいりました。
 
　現在では最先端の医療設備と優秀なスタッフが整い、遠方からもご紹介をいただき、多くのお客様に安心してご利用いただける総合動物病院法人へ成長することができました。
これは、ひとえにお客様のおかげに他ならないという真摯に、感謝の気持ちしかありません。
　「モノがあったところに人が集まった」のではなく、「ハートがあるところに人が集まり当院が作られた」と私は思っています。
 
    バブル経済崩壊後は失われた20年と言われますが、動物病院業界にとっては飛躍した20年だと思います。
   また、現在の動物病院を取り巻く環境において、高度医療や2次診療、専門医や認定医、等よく耳にしますが、はたしてお客様はそれらを心から望んでいるのでしょうか？
もちろん重要かもしれません。
  しかし、それらに加えてお客様の「痛みは何か？」「何を求めているのか？」を感じて「ハート」でご期待に応えるおもてなしこそが大切なのではないでしょうか。
 
　動物病院は、傷ついている人と動物が訪れる、頼みの場所とも言えます。
何らかの不安と痛みを抱えて、ご家族である動物を連れて来院されます。
　当院スタッフはそのことを胸に刻み、日々臨床現場で働いています。
これからも、開業当時の初心を忘れず、あたたかい「ハート」を胸に、お客様方に満足いただけるよう努力して行くことをお約束いたします。
 
2017年吉日
ハート動物病院　病院長　
どうぶつ眼科センター代表
獣医師伊藤卓巳