再発性上皮びらん(SCCEDs)について
~再発性上皮びらん(SCCEDs)?~
SCCEDs (Spontaneous Chronic Corneal Epithelial Defects) は、難治性角膜潰瘍、ボクサー潰瘍、無痛性上皮びらんとも言います。
角膜上皮の接着障害により、何度も繰り返してしまう角膜の上皮障害です。つまり、再発を繰り返す角膜びらん(潰瘍)のことです。
~原因は?~
- 角膜の上皮と実質が接着不良をおこし、角膜の傷が治らない病気です。傷を修復する過程で、再生してきた角膜上皮が角膜実質に密着できないため、修復できず、痛みが続いてしまいます。
- 上皮と実質をつなぐ役割をする物質が減少していたり、実質表面が変性することにより発生するとされていますが、詳しい原因はわかっていません。
①
角膜上皮が傷ついて剥がれると
②
上皮細胞が再生して修復する
③
しかし、すぐに剥がれてしまう
【好発犬種】
ボクサー
フレンチ・ブルドッグ
W.コーギー
フレンチ・ブルドッグ
W.コーギー
G.レトリーバー
など
など
~症状は?~
- かなり痛みがある病気です。
- ・眼をショボショボさせる
- ・充血で目が真っ赤になる
- ・涙が多い
- ・目やにが多い など…
- 通常であれば角膜上皮の傷や炎症は、点眼薬により1~2週間で良くなりますが、SCCEDsの場合、点眼薬だけではなかなか良くなりません。「治った!」と思いきや、またしょぼしょぼして…、と繰り返してしまうのが特徴です。
~検査と診断~
角膜染色を行います。角膜に傷がある場合、その部分が染まります。SCCEDsの場合、潰瘍の周囲にも染色液がしみ込んでいきます。
乾いた綿棒などで軽く触れるだけで、上皮がめくれてしまうのが特徴です。また、通常の治療に反応せず、何週間も治癒しない場合もSCCEDsを疑います。
~じゃあ治療はどうしたらいいの?~
- 通常の上皮欠損の場合は、点眼により1-2週間程度で治癒します。しかし、SCCEDsの場合、点眼のみではなかなかよくなりません。
- そのため、接着していない上皮細胞を除去し、キズをつけることにより、上皮が接着しやすくするための処置が必要になります。処置を行った直後は、目をしょぼしょぼさせたり、つぶってしまったりすることがありますが、数ヶ月後には通常治癒することが多いです。しかし、角膜が白く濁ったり、再発してしまう可能性があります。
角膜に傷をつけることにより
上皮細胞が角膜実質に接着しやすくします
角膜用ダイヤモンドバー
先を曲げた注射針
角膜の格子状切開
- このような処置は、通常は全身麻酔ではなく、点眼麻酔のみで行うことが可能です。しかし、重傷な場合や処置を嫌がってします場合などは、全身麻酔下で行う場合もあります。角膜潰瘍が深部にまで及んでいる場合は、第三眼瞼や結膜を用いたフラップ法や眼瞼縫合などの外科的な手術を行う場合もあります。
- また、コンタクトレンズを装着することもあります。目をいじらないようにエリザベスカラーの装着が必要です。