眼瞼内反症
~眼瞼内反って?~
眼瞼内反は、犬においても猫においてもしばしば遭遇する疾患です。
まぶたの縁が内側 (角膜側)に入り込んで慢性的な角膜炎や流涙などが生じます。

まぶたが内側に入り込むことで、毛や皮膚が角膜に接触し、持続的な痛みや刺激があります。
~原因は?~

眼瞼内反の原因は、
・構造上の異常
・痛みなどによる痙攣性
・傷跡や手術などによる瘢痕性
・眼球の位置や大きさの異常 などがあります。
そのため、他に痛みを及ぼす病気が無いか、注意深く検査する必要があります。場合により、点眼の麻酔薬を用いて痛みを感じにくくした状態での変化を評価します。
~構造的な問題で内反が生じやすい犬種~
チャウチャウ
イングリッシュ・ブルドッグ
ラブラドール・レトリーバー
ゴールデン・レトリーバー
セント・バーナード
シャー・ペイ
ロットワイラー
グレート・デーン
など
~じゃあ治療はどうしたらいいの?~
基本的には手術が必要です。眼瞼が内側に入り込んでしまっている場合は、目薬や飲み薬での内科的な治療で完治することは困難です。
眼瞼内反は生まれて間もない開眼時に生じることが多いですが、骨格や顔面皮膚の成長に伴って症状の改善や消失することがあります。そのため、手術が必要かどうかの判断は顔貌の変化がみられなくなってから行う必要があります。
~タッキングスーチャー~
眼瞼内反は成長に伴って進行したり改善したりすることがあるため、ある程度成長してから眼瞼内反矯正手術が必要かどうか判断する必要があります。

タッキング前
まぶたが内側に入り込んでいるため、アイラインが確認できません。

タッキング後
アイラインが確認できるようになりました。

タッキング後
まぶたの縁に近い部位から、離れた部位に糸を通して縫合します。縫合すると皮膚に溝ができ、まぶたをめくった状態となります。
~Hotz-Celsus 変法~
成長してまぶたを含めた顔の構造に変化がみられなくなった後にも症状が残る場合は、恒久的な矯正方法が検討されます。
Case:1

手術前
内反が非常に強く、持続的な角膜潰瘍を認めていました。

手術の様子
内反している範囲に合わせて切除する皮膚の量を決めます。

手術の様子
皮膚のみを切除し、そこを外側にめくれるように糸で縫合します。

手術から2週間後
アイラインが確認できるようになりました。
Case:2

手術前
この子も内反が非常に強く、常に涙で顔が濡れていました。

手術前
下まぶたをめくった様子。この子は手術までの間にコンタクトレンズを装着していました。

手術の様子
状況により、まぶたを一部切除することもあります。

手術から2週間後
アイラインが確認できるようになりました。